今年も早いものでもう11月です。平成最後の年越しまで2ヶ月を切りました。クリスマス、お正月とイベントが続くこの時期ですが、インフルエンザが流行り出すのもこの時期です。そんなインフルエンザの治療薬と言えばタミフルやリレンザなどが有名ですが、塩野義製薬が開発した「ゾフルーザ」という新薬が注目を浴びています。「ゾフルーザ」とはどんな薬なのか、調べてみました。
インフルエンザ 新薬「ゾフルーザ」を1回服用するだけで治る!!
インフルエンザの仕組み
インフルエンザがどんな病気かは聞いたことがあると思います。高熱が出る、身体の節々が痛くなるなどなど。まずはものすごく簡単にインフルエンザウイルスの動きを見てみましょう。
1. ヒト細胞内に入る
2. ヒト細胞内で増える⇒増える時に「エンドヌクレアーゼ」が必要になる
3. ヒト細胞外へ出て、他の細胞に感染する⇒出る時に「ノイラミニダーゼ」が必要になる
本当にシンプルですが、「人の体内の細胞に入って、細胞の中で増殖し、他の細胞にまた入っていく」こんな感じです。
今までの抗インフルエンザ薬
インフルエンザというと、タミフル・リレンザ・ラピアクタ・イナビルという4種類の抗インフルエンザ薬が有名です。使用した方は知っているとは思いますが、全ての薬を試された方はほとんどいないのではないでしょうか。抗インフルエンザ薬は薬局では購入できません。必ず医師の処方が必要な薬です。それではまずはそれぞれどんな薬か見てみましょう。
タミフル :経口薬(1日2回を5日間)
リレンザ :吸入薬(1日2回を5日間)
ラピアクタ :注射用(1回)
イナビル :吸入薬(1回)
以上のように、それぞれタイプが全く異なります。共通しているのは、これらの薬は「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれている部類の薬という点です。「ノイラミニダーゼ阻害薬」とはどんな薬かをWikipediaで調べてみました。
細胞膜表面にあるノイラミニダーゼ(NA)を阻害する抗ウイルス薬の総称である。体内でのインフルエンザウイルスの増殖過程において、感染細胞からのインフルエンザウイルスの放出に必要なウイルス・ノイラミニダーゼを抑制することでインフルエンザウイルスを細胞内に閉じ込める。これによりパンデミックを予防できる。しかし、ノイラミニダーゼを持たないC型インフルエンザには無効である。M2蛋白阻害薬(アマンタジンなど)はA型インフルエンザのみ有効である。これに対しザナミビル(商品名:リレンザ)、オセルタミビル(商品名:タミフル)などはA型/B型インフルエンザの双方に有効である。
引用:Wikipedia
ちょっと難しいので簡単に言うと、上記の抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの放出を抑える薬です。インフルエンザを治す薬ではなかったんです。インフルエンザウイルスがヒトの細胞内で増殖した後に他の細胞に移ろうとします。細胞から出る時に必要なのが「ノイラミニダーゼ」です。ノイラミニダーゼがなければ細胞から出ることができません。そのため、ノイラミニダーゼが作られるのを防いで細胞から出られないようにし、インフルエンザウイルスを細胞内で殺してしまおうという治療薬なんです。
ゾフルーザとは
それでは次にゾフルーザを見てみましょう。私は初めて耳にした名前ですが、一般名は「バロキサビルマルボキシル」だそうです。バロキサビルマルボキシル(Baloxavir marboxil)はA型・B型インフルエンザ治療薬で、商品名が「ゾフルーザ」になります。
ゾフルーザの大きな特徴は、「エンドヌクレアーゼ阻害薬」という点です。
エンドヌクレアーゼ阻害薬は、抗インフルエンザ薬としては全く新しい作用機序の治療薬である。従来の抗インフルエンザ薬であるタミフルやリレンザなどのノイラミニダーゼ阻害薬は、あくまで増殖したウイルスが感染細胞から出られなくするだけで、ウイルスの増殖を抑えることはできなかった。 これに対し、エンドヌクレアーゼ阻害薬はウイルスの増殖そのものを抑えることができるため、従来のインフルエンザ治療薬と比較して抗ウイルス効果が高く、速やかに感染性を持つウイルスを減らすことかできる。
引用:Wikipedia
今までの抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスがヒトの細胞内で増殖して他の細胞に移る時に必要とする「ノイラミニダーゼ」を阻害するための薬でした。
しかしゾフルーザは違います。インフルエンザウイルスがヒトの細胞内で増える時に必要となる「エンドヌクレアーゼ(正確には「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ」)」を阻害します。増殖自体を抑えてしまおうということなんです。
ゾフルーザのメリット
ゾフルーザはたった1回だけの投与でいいのが何よりのメリットです。朝・昼・晩と何度も飲む必要がありません。そしてインフルエンザウイルスの増殖自体を抑えるので、治るのが早いのも特徴です。1日以内に症状を抑える効果があるとされています。
データとして、体内からインフルエンザウイルスが検出されなくなるまでの時間について、タミフルが72時間、ゾフルーザが24時間とのことです。かなりの差があることが分かります。治るまでの時間が短くなるというのは本当にありがたいです。
また、タミフル等が作用するノイラミニダーゼは遺伝子の変異が起こりやすく、タミフル耐性のインフルエンザウイルスが発生することも度々ありました。しかしゾフルーザの作用する「エンドヌクレアーゼ(正確には「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ」)」は、遺伝子の変異が起きにくいと言われています。そのため、ゾフルーザ耐性のインフルエンザウイルスは発生しにくいと考えられています。
ゾフルーザのデメリット
2018年2月23日に製造販売承認され、同年3月14日に発売されたばかりのまだまだ新しい薬です。そのため、これから予期せぬ副作用が発現する恐れもあります。
まとめ
インフルエンザにかかると本当に動けないほどツラいです。しかしもしインフルエンザにかかってしまった場合でも、ゾフルーザを使えばすぐにインフルエンザウイルスを体内から消すことができるのは嬉しい限りです。それもたったの1回服用するだけで良いというのですから、最高です。
もちろんインフルエンザにかからないのが一番いいに決まっています。人が多い所は避けなさいとよく言われますが、都内に住んで普通に仕事をしていればどうしても満員電車など人が多い場所を避けることができない場合があります。
疲れが溜まっている状態だと、体の抵抗力が落ちてインフルエンザにかかりやすくなります。日頃から可能な限り対策をして、インフルエンザに備えましょう。できればインフルエンザの予防接種を受けることをおススメします。私は毎年予防接種を受けていますが、受けた年はインフルエンザにかかったことはありません。3,000円前後で受けることができるので、余裕のある方は予防接種を受けてください。
それではみなさん、体調にはくれぐれも気を付けてくださいね。
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