大阪府が2月議会に提出する府青少年健全育成条例の改正案の全容が分かりました。この改正案によると、18歳以下との交際は真剣交際以外はすべて違反となるとのこと。ここで問題となるのは「真剣交際」の基準と罰則でしょう。今回は条例改正案について見ていきましょう。
18歳未満との交際 「真剣」以外は違反!! 真剣の基準は?罰則は?大阪府条例改正
18歳未満との交際、「真剣」以外はすべて違反に…大阪府が条例改正案
大阪府が、2月議会に提出する府青少年健全育成条例の改正案の全容がわかった。条例は18歳未満とのわいせつ行為を禁じているが、現行では、脅したり、ウソをついたりしていなければ、処罰の対象外だった。改正案では、性的欲望を満たすことだけを目的としたわいせつ行為を禁じ、真剣交際以外はすべて違反となる。
府の条例を巡っては、処罰対象になる要件が他のほとんどの都道府県より厳しく、逮捕・書類送検が極端に少ないことが問題になり、府の審議会が対象拡大を提言していた。改正案では、脅しやウソの文言がなくても、18歳未満の未熟さに乗じてわいせつ行為に及ぶことも禁じる。
引用:ヤフーニュース
青少年健全育成条例とは?
青少年健全育成条例とは日本の地方公共団体の条例の一つで、青少年の健全な保護育成を図ることを目的とした、各地方公共団体が定める条例の総称です。
青少年保護条例や、青少年保護育成条例と言うこともあります。
各地方公共団体がそれぞれ独自に制定しており、現在は全国の都道府県が制定しています。
条例では、青少年の健全育成についての基本理念や、都や県及び保護者・都民や県民・事業者の責務を明らかにした上で、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止することによって、青少年の健全な育成を図ることを目的としています。
今回の問題となっているのは、この条例の中にある淫行条例(いんこうじょうれい)です。
淫行条例とは
まずはWikipediaを見てみましょう。
日本の地方自治体の定める青少年保護育成条例の中にある、青少年(既婚者を除く18歳未満の男女)との「淫行」「みだらな性行為」「わいせつな行為」「みだらな性交」また「前項の行為(=「淫行」など)を教え・見せる行為」などを規制する条文(淫行処罰規定)の通称である(正式な名称ではない)。
引用:Wikipedia
上述した青少年健全育成条例の中の1つです。
そして今回大阪府の改正案である「18歳未満との真剣交際以外は全て違反になる」というのは、この淫行条例と深く関係します。
今までの大阪府の淫行条例は対象を処罰する条件がとても厳しかったので、逮捕・書類送検に至るまでがとても困難でした。そのため、他の都道府県に比べてザルじゃないかという指摘がありました。
今回の改正案によって、幅広く取り締まれるようにしようという意図があります。
ここで問題になるのが「真剣」というキーワードです。次はこの解釈について見ていきましょう。
「真剣」の基準は?
18歳未満とわいせつ行為をした場合、大阪府の現行では、
脅したり、ウソをついたりしていなければ、処罰の対象外
でした。つまりお互い合意があれば処罰されなかったのです。
ところが今回の改正案では、性的欲望を満たすことだけを目的としたわいせつ行為を禁じ、
真剣交際以外はすべて違反
としました。
問題はこの「真剣」交際とはどの程度かという事になります。
本人同士が真剣交際だと主張すれば警察も対応が難しいとは思いますが、実際には
交際していた期間
結婚前提なのか
保護者が同意しているかどうか
などが判断基準になるのではないでしょうか?
女性が結婚できる年齢は16歳なので、女性の年齢も重要になるでしょう。
各都道府県の淫行処罰規定一覧
ちなみに、各都道府県の淫行処罰規定を見ておきましょう。
各都道府県の淫行処罰規定 | ||
都道府県 | 児童淫行に対する罰則 | 児童に淫行を教示し、 またはそれを見せることに対する罰則 |
北海道 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
青森県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
岩手県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
宮城県 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
秋田県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 20万円以下の罰金 |
山形県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
福島県 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
茨城県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金または科料 |
栃木県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 同左 |
群馬県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 同左 |
埼玉県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
千葉県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 規定なし |
東京都 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 規定なし |
神奈川県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
新潟県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
富山県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
石川県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
福井県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
山梨県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 50万円以下の罰金 |
長野県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 規定あり・罰則なし |
岐阜県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 同左 |
静岡県 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
愛知県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
三重県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 10万円以下の罰金または科料 |
滋賀県 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 | 同左 |
京都府 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 同左 |
大阪府 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 | 規定なし |
兵庫県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金または科料 |
奈良県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
和歌山県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
鳥取県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 20万円以下の罰金 |
島根県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
岡山県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
広島県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 50万円以下の罰金 |
山口県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 規定あり・罰則なし |
徳島県 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
香川県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 同左 |
愛媛県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 同左 |
高知県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
福岡県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
佐賀県 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
長崎県 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 同左 |
熊本県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
大分県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
宮崎県 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
鹿児島県 | 2年以下の懲役または100万円以下の罰金 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
沖縄県 | 2年以下の懲役または50万円以下の罰金 | 同左 |
出典:Wikipedia
こうやって見ると、都道府県によって基準が違うことが分かります。
「同じ日本なのになぜ?」と思いますよね。
こういうふうに都道府県によって異なるという複雑さが分かりにくくなっている原因でしょう。
刑法で定めればいいと思うんですけどね。
ネットの声
その基準が難しいと思うんだけど。仮に最初は真剣で別れてから18未満の相手から合意はなかったって通報されたらそれも条例違反になるのか。
下手にルール作ってしまうと逆に取締りが困難になりかねないと思う。
真剣交際とそうでないものとをどう区別するか、
いやしくも条例なんだから基準が必要。
現状でも、自由恋愛という建前で個室浴場が営業されていますが、
同じように、骨抜きになるんでしょうかね。
大阪のユーモアかと思いきや、要件が厳しすぎる大阪府条例の闇だったのね…。
青少年育成条例も、痴漢の迷惑防止条例もだけど、何でこんなのばかり地方分権にするんだろう?警察が都道府県単位だから?
いっそ、刑法とか国の法律に格上げすればいいのに。
まとめ
今回の改正案では、「真剣」交際とはどういう基準なのかが重要な点だと思いました。
ただ実際に事件があった場合、交際している男女がどのような発言をするかによって判断が変わるということになるでしょう。
お互いに真剣に付き合っていると証言した場合、付き合っている期間などが重要になると書きましたが、場合によっては警察がそれを正確に調べるのは難しいと思います。
そもそも18歳未満に該当する条例なので、それほど交際期間が長くなることは稀でしょう。せいぜい1年か2年程度です。これで真剣かどうか判断するのは難しくないですかね?
結婚する意志についても同じです。まだ若い子であれば、幼い考えで真剣に結婚したいと思う事もあるでしょう。
そうなると保護者の許可ですが、これはなかなか難しいと思います。実際に結婚する大人でも全員が親の了承を得られている訳ではありませんから。
どちらにせよ改正後に逮捕者が出て、その判例に沿ってその後の判断が決まっていくんでしょうね。
ネットの声にもありましたが、都道府県によって異なるのではなく、刑法などに盛り込めばいいのにと思いますね。
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