河村隆一さん 肺腺がんの手術を受けていたと発表 肺腺がんとは?

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2019年1月13日の公式ブログの中で、LUNA SEAのボーカル河村隆一(かわむら りゅういち)さんが11日に肺腺がんの手術を受けていたことを明かしました。手術は無事終わり、がんを摘出できたとのこと。野際陽子さんや中村獅童さん、東てる美さんなども患った肺腺がん。今回は肺腺がんとはどんな病気なのか調べてみました。

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河村隆一さん 肺腺がんの手術を受けていたと発表 肺腺がんとは?

 

肺腺がんとは?

 

「肺がん」はよく耳にしますが、「肺腺がん」とはいったいどういう病気なのでしょうか?

そもそも肺がんは、大きく分けると「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の2つに分類されます。
そしてさらに非小細胞肺がんは「扁平上皮がん」と「非扁平上皮がん」に、「非扁平上皮がん」は「腺がん」と「大細胞がん」に分類できます。これを組織型別の分類といい、治療方法が異なります。

小細胞肺がん

非小細胞肺がん ― 扁平上皮がん
         \ 非扁平上皮がん ― 腺がん
                                     \ 大細胞がん

 

小細胞肺がん(しょうさいぼうはいがん)

 

小細胞肺がんは、他のがん細胞と比べて小さいものとなります。比較的小さな細胞が密集して広がっていることからこのように呼ばれています。喫煙により発症することが多いため中高年の男性に多い肺がんとなります。痰の中にがん細胞がみられることがあります。

非小細胞肺がんに比べると比較的割合が少なく、10~15%程度です。ただし、進行、転移共にそのスピードは非常に速く、リンパ節、脳、肝臓、副腎、骨などに転移しやすい悪性度の高いがんですが、薬物療法や放射線療法に対する効果が高いのが特徴です。多くは肺の入り口に近い肺門部に発生すると言われています。

 

 

肺扁平上皮がん(はいへんぺいじょうひがん)

 

肺扁平上皮がんは、喫煙が大きな原因となると言われています。そのため、喫煙をしている中高年の男性に多い肺がんです。男性の約40%、女性の約15%を占めます。進行は遅めといわれています。肺野部にも発生することがありますが、肺の中心部(気管支壁)に発生することが多いと言われています。

 

 

 

肺腺がん(はいせんがん)

 

肺腺がんは、日本人に最も多い種類の肺がんとなり、肺がんの約半数を占めます。非喫煙者や女性の肺がんの方の多くが、今回話題になった肺腺がんとなります。その比率ですが、男性の約40%、女性の約70%を占めていると言われています。初期には症状が出にくく進行は中程度と言われていますが、肺腺がんにはさまざまな性質のものがあり、増殖の速さや治療の効果が異なります。

がんの発生する場所ですが、下の図のようにほとんどが肺の奥の方(肺野部)に発生するのが特徴です。

 

 

 

肺大細胞がん(はいだいさいぼうがん)

 

肺大細胞がんは、他のがん細胞に比べて大きいものです。肺大細胞がんは、肺がんのうち数%程度と少ないのですが、進行や転移その速度は比較的早いと言われています。肺腺がんと同じように肺の奥の方(肺野部)に発生します。

 

 

病期(ステージ)

 

病期(ステージ)とはがんの進行の程度を示す言葉で、肺がんでは「大きさ」・「広がり」・「リンパ節やほかの臓器への転移の有無」によって決定します。病期の評価にはTNM分類と呼ばれる分類法を用います。これは、がんの大きさと浸潤しんじゅん(T因子)、リンパ節転移(N因子)、遠隔転移(M因子)の3つの因子について評価し、これらを総合的に組み合わせて病期を決定する方法です。それぞれの因子については、以下のようになっています。

 

T因子(原発腫瘍 primary Tumor)
原発巣の大きさや周囲の組織との関係

N因子(所属リンパ節 regional lymph Nodes)
胸部のリンパ節転移の程度

M因子(遠隔転移 distant Metastasis)
原発巣以外の肺転移や胸水、その他の臓器への遠隔転移の有無

 

 

 

 
肺がんのT分類
T分類 病期 解説
Tis 上皮内がん、肺野に腫瘍がある場合は
充実成分※1の大きさが0cm、かつ病変の大きさ※2が3cm以下
T1 充実成分の大きさが3cm以下、かつ肺または臓側胸膜におおわれ、
葉気管支より中枢への浸潤が気管支鏡上認められない
(すなわち主気管支に及んでいない)
T1mi 微少浸潤性腺がんで充実成分の大きさが0.5cm以下、かつ病変の大きさが3cm以下
T1a 充実成分の大きさが1cm以下で、TisやT1miには相当しない
T1b 充実成分の大きさが1cmを超え2cm以下
T1c 充実成分の大きさが2cmを超え3cm以下
T2 充実成分の大きさが3cmを超え5cm以下
または、充実成分の大きさが3cm以下でも以下のいずれかであるもの

  • 主気管支に及ぶが気管分岐部には及ばない
  • 臓側胸膜に浸潤がある
  • 肺門まで連続する部分的または片側全体の無気肺か閉塞性肺炎がある
T2a 充実成分の大きさが3cmを超え4cm以下
T2b 充実成分の大きさが4cmを超え5cm以下
T3 充実成分の大きさが5cmを超え7cm以下
または、充実成分の大きさが5cm以下でも以下のいずれかであるもの

  • 臓側胸膜、胸壁、横隔神経、心膜のいずれかに直接浸潤がある
  • 同一の肺葉内で離れたところに腫瘍がある
T4 充実成分の大きさが7cmを超える
または、大きさを問わず横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、反回神経、食道、椎体、気管分岐部への浸潤がある
または、同側の異なった肺葉内で離れたところに腫瘍がある
注記
※1: 充実成分とは、CT検査などによって病変内部の肺血管の形がわからない程度の高い吸収値を示す部分のこと。
これに対し、病変内部の肺血管の形がわかる程度の淡い吸収値を示す部分をすりガラス成分という。
※2: 病変の大きさとは、充実成分およびすりガラス成分を含めた腫瘍全体の最大径のこと。

※ 国立がん研究センター がん情報サービス『肺がん』より引用し改変

 

 
肺がんのN分類とM分類
病期 解説
N0 所属リンパ節※3への転移がない
N1 同側の気管支周囲かつ/または同側肺門、肺内リンパ節への転移で原発腫瘍の直接浸潤を含める
N2 同側縦隔かつ/または気管分岐下リンパ節への転移がある
N3 対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の鎖骨の上あたりにあるリンパ節への転移がある
M0 遠隔転移がない
M1 遠隔転移がある
M1a 対側肺内の離れたところに腫瘍がある、胸膜または心膜への転移、悪性胸水※4がある、悪性心嚢水(しんのうすい)※5がある
M1b 肺以外の一臓器への単発遠隔転移がある
M1c 肺以外の一臓器または多臓器への多発遠隔転移がある
注記

※3:肺がんの所属リンパ節は、胸腔内や鎖骨の上あたりにある。
※4:胸水の中にがん細胞がみられること。
※5:心臓の周りにたまった液体(心嚢水)の中にがん細胞がみられること。

※ 国立がん研究センター がん情報サービス『肺がん』より引用し改変

引用:Wikipedia

 

肺がんでは、病期は0期、Ⅰ期(ⅠA、ⅠB)、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB)、Ⅳ期に分類されます。組み合わせると以下のようになります。

 

 

 
肺がんの病期分類
  N0 N1 N2 N3 M1a M1b M1c
T1mi IA1            
T1a IA1 IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T1b IA2 IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T1c IA3 IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T2a IB IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T2b IIA IIB IIIA IIIB IVA IVA IVB
T3 IIB IIIA IIIB IIIC IVA IVA IVB
T4 IIIA IIIA IIIB IIIC IVA IVA IVB

※ 国立がん研究センター がん情報サービス『肺がん』より引用し改変

引用:Wikipedia

 

治療方法

 

肺がんの治療方法ですが、当然のことながらその人の病期(ステージ)や全身状態によって変わってきます。肺がんの治療方針は、組織型と病期でほぼ決まります。

 

小細胞肺癌

 

小細胞肺癌は、基本的に発育が早いため、ほとんど発見時には進行性である場合が多い。また、CTなどの画像検査上限局しているように見えても検出できない程度の微少転移が既に存在していることがほとんどである。そのため手術や放射線療法などの局所治療の効果は極めて限定的であり、化学療法が治療の中心となる。 治療法の違いにより病期は2つに分類される。

引用:Wikipedia

 

上記のように、手術が可能な早期に発見されることが少ないため、抗がん剤による治療が中心。放射線治療を併用することもある。

 

非小細胞肺癌

 

非小細胞肺癌では、stageIII期までは手術療法が検討される。一方、stage IV以上の臨床病期では手術の適応となることは乏しく、化学療法、放射線療法が治療の主体となる。

引用:Wikipedia

 

上記のように、ある段階までは手術による治療が中心。再発予防のために術後に抗がん剤による治療を行うことも。手術が難しいステージの場合は、放射線治療を行い、さらに進行すると薬物療法(抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤)が中心になる。

 

まとめ

 

今回河村隆一さんが公表したことにより「肺腺がん」という言葉を初めて聞いた方も多いでしょう。私はタバコを吸わないから大丈夫だと思っている方も多いと思います。しかしご覧いただいたように、非喫煙者や女性の多くがなるのがこの肺腺がんになります。肺がんの約半数がこの肺腺がんです。実際、肺がんになった方の男性の約40%、女性の約70%がこの肺腺がんです。

肺腺がんは肺の奥の方(末梢部)に発生するので、最初の頃は全く症状が出ないため気付きません。肺腺がんを早期に発見する方法はCT検査です。普通のレントゲン検査でも見つけられる可能性はありますが、一般的に腫瘍が2㎝位にならないと発見できないと言われています。この大きさで発見した場合、治る確率は90%程度です。しかしCT検査はさらに小さな肺がんを見つけることができます。CT検査で見つかった早期のがんの場合、100%完治できます。

喫煙者の方で痰が出たり咳が出るなどの症状が長く続くような場合には、喀痰検査(喀痰細胞診)をした方がいいです。また、肺がんの中で最も発生率の高く、早期には全く症状のない肺腺がんの発見のためには間違いなくCT検査をおすすめします。肺腺がんは非喫煙者の方、女性の方にも多く見られるがんなので、年に一度はCT検査を受けましょう。

そうすれば、今回の河村隆一さんや中村獅童さんのように、早期発見につながり完治する可能性が格段に高くなります。自分は大丈夫と思わず、年にたった一度でいいので検査を受けましょうね。

 

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