レーシックとの違いは? 指原莉乃さんが使用している眼内コンタクトレンズ「ICL」って何?

話題

一時期近視を改善するための手術として「レーシック」が流行りましたが、今「ICL」が注目を集めています。2018年3月、タレントの指原莉乃さんがSNS上で「ICLの手術を受けた」と発信したことがきっかけとなりました。今回はICLについて調べてみましたので、ご覧ください。

 

レーシックとの違いは? 指原莉乃さんが使用している眼内コンタクトレンズ「ICL」って何?

 

レーシックとは

 

LASIK(レーシック)は「laser in situ keratomileusis」の略です。視力矯正の手術法として最も認知され、実際に視力矯正手術を受ける人が多いのがこのレーシックでしょう。レーシックを簡単に言うと、角膜を削って近視・遠視・乱視を矯正する手術です。角膜を削ってしまいますから、当然元の状態には戻せない「不可逆性」の手術法です。

この手術は、角膜の厚みや近視の度合いによって1回しかできない人もいれば、数回できる人もいます。角膜の厚さは人によって異なり、薄い人もいれば分厚い人もいます。分厚ければ複数回出来る可能性があります。また、近視の度が強いほど多く削る必要があるため、近視の度が高くて角膜が薄い場合は、1回もできない場合もあります。

 

◇レーシックのメリット

 

広く普及しているため、手術を受けやすい

比較的費用が安い(10万円程度で受けられる医院もある)

 

◇レーシックのデメリット

 

フラップトラブルが起こる可能性がある

ドライアイになりやすい

強度の近視の場合、十分な視力が出ない場合がある

近視のリバウンドが起こる可能性がある

不可逆的な手術なので、角膜を元に戻すことができない

白内障になったとき正確な手術が受けれない可能性がある

夜間に視力が低下する

手術をするのに資格が不要なので、一時期トラブルが頻繁に起きた

 

ICLとは

 

ICLは「Implantable Contact Lens」の略です。簡単に言うと、目の中に矯正用のレンズを直接入れてしまう手術を指します。レーシックとの大きな違いは、「可逆性」です。ICLは眼内に固定した薄い矯正用レンズを入れますが、このレンズは取り外すことが出来ます。レーシックは角膜を削ってしまうので元に戻すことは出来ませんが、ICLはレンズを取り除けば元に戻せるんですね。

ではどこにレンズを入れるのか?という事になりますが、黒目(虹彩)の裏側の「後房」と呼ぶ位置に固定します。レーシックとの大きな違いは手術の方法にもあります。片目、約10分程度(基本的には両眼同日手術)の日帰り手術で、点眼麻酔で痛みはほとんどなく、切開するのは3㎜程度のため負担が少なくて済みます。切開する範囲が小さくなればなるほど、感染症などのリスクも減ります

術後すぐにある程度見えますし、数時間休むとかなり見えてきます。手術当日の見え方は70%くらいですが、裸眼で帰るには十分な視力になります。一日経つと見え方は90~100%くらいになり、ほぼデスクワークはこなせる状態になります。切開するのは3mm程なので縫合することもなく、自然治癒します。3㎜ではレンズが入らないんじゃないか?と心配される方もいらっしゃると思いますが、中に入れるレンズは折り畳み式のレンズです。中に入れてからレンズを膨らませるので、3mm程で大丈夫なんです。身体に負担の少ない手術法となっています。

画期的なICLですが、以前は白内障になりやすいという欠点がありました。しかし北里大学眼科教授の清水公也先生のグループがICLの真中に穴(hole)のあいている「hole付きICL」を研究し、この欠点をほぼ取り除くことに成功しました。

具体的に説明すると、レンズの真ん中の小さな穴から房水の流れが生じるので、周辺部虹彩切除術をする必要が無くなり、それに伴う合併症がなくなりました。また、房水の流れが阻害されることによって白内障になりやすい可能性も指摘されていましたが、その可能性も大幅に減らすことが出来るようになりました。

医学の進歩というのは本当に凄いですよね(^_^)

 

 

◇ICLのメリット

 

角膜を削らないため、フラップトラブルがない

ドライアイが起きにくい

強度の近視や遠視、乱視にも対応している

近視のリバウンドがない

可逆性のある手術なので、移植したレンズの取り出しが可能

認定を受けた術者しか手術が出来ないので、安心感がある

 

◇ICLのデメリット

 

費用が高い

手術前は、コンタクトレンズ(特にハードレンズ)を一定期間装用中止する必要がある

すぐに手術を受けることが出来ない(レンズの作成など1ヶ月くらい時間がかかる)

 

使用するレンズ

 

レンズの素材は、「コラマー」という特殊な合材です。紫外線をカットする効果を持っていて、ソフトコンタクトレンズのように水分の含んだ柔らかな素材で出来ています。レンズの中央には0.36mmの貫通孔があいていますが、見え方には影響ありません。この穴によって眼の中の水流の循環が維持され、眼内の状態を健全に保つことができます。

一度入れてしまえば普通のコンタクトレンズのように洗ったりするような日々のメンテナンスは不要です。眼の中で汚れたり、ゴロつくこともありません。ただし、必要な定期検査は必ず受ける必要があります。

 

年齢制限

 

21歳~50歳くらいまで。

※ただし、老視対策を考慮した度数合わせで良好な場合は55歳くらいまで適応となる場合があります。

 

ICLに適している人

 

一般的には、「18歳以上で6Dを超える強度近視眼」が適応となっています。が、これはあくまで一つの指針であって、実際には21歳以上を推奨している眼科が多いですし、6D以下の近視の方が手術を受けられないということではありません。6D以下の近視であればレーシックの方が良いとされる場合が多いということです。レーシックの方が良いとされているとしても、例えば角膜が薄くレーシックが難しい人は6D以下の近視でもICLになるでしょう。またICLの可逆性に安心感を感じる人はICLがおススメです。

 

ICLに向かない人

 

虹彩と水晶体の間の狭いスペースにレンズを挿入する手術なので、角膜と水晶体の距離(前房深度)が浅い人は緑内障などの危険性があるので適しません。

また、格闘技やサッカーなど、頭部に強い衝撃を受けるスポーツをする人は衝撃でレンズがずれてしまい、再手術が必要になる可能性もあります。そういった方の場合、エキシマレーザーを使用したPRKやLASEKを施行した方が良い場合があります。

 

まとめ

 

こうやって見てみるとレーシックに比べるとICLの方が安心度が高い気がします。角膜を削らなくてもいいし、何より私が良いと思ったのは、認定を受けた術者しか手術が出来ないという点です。レーシックでは色々なトラブルが発生してニュースにもなっていました。誰でも出来てしまう手術なので、悪い医師がお金儲けのためにレーシックをやっていたからです。目はとても大切です。万が一失明してしまったら一生何も見えない生活になってしまいます。

ICLも手術が失敗する可能性が0という訳ではありません。所詮人間がやる訳ですから。あくまでレーシックよりも失敗する可能性やトラブルが発生する可能性が低いだけです。目に何かしらの傷をつけるという点においてはレーシックと変わりません。

私も視力が0.01なので真剣にレーシックを考えたことがあります。ただ、コンタクトレンズ(ソフト)ですら半日も入れていることが出来ないくらい目が弱い体質です。手術するにあたって何かのトラブルになる可能性が怖くて諦めました。現状メガネがあれば不便ですが生活は出来ています。メガネの煩わしさと失明のリスクを天秤にかけた時、私はメガネの煩わしさを選択しました。

しかしメガネをかける生活が困難な人もいらっしゃると思います。コンタクトの着用でドライアイがひどい場合や、メガネをかけると頭痛がひどい方などです。そういう方はレーシックではなくICLという選択肢が増えたのはとてもいいことだと思います。もし手術を受けたい場合には、しっかりと病院などを調べてから行くといいと思います。自分の一生がかかっています。しっかりと調べて考えた上で、後悔のない選択をして欲しいです。

コメント

error: Content is protected !!