最近テレビでも少しずつ取り上げられ、認知度が上がってきた「e-Sports」。その中でも”東大卒”のプロゲーマーとして注目を浴びているのが「ときど」こと本名「谷口 一(たにぐち はじめ)」選手です。TBS系列局のドキュメンタリー番組「情熱大陸」の2018年8月12日の放送でも取り上げられました。世界の中で変わりつつあるe-Sports。今回はときど選手とe-Sportsの世界について調べてみました。
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異色の東大卒プロゲーマー、ときど選手。 「e-Sports」って何?「ときど選手」ってどんな人?
ときど選手って?
「ときど選手」って聞くと、まずなんの選手か分からない人が多いと思います。同時に「ときど」って珍しい名前だなと思うでしょう。実は私も最初聞いた時、そう思いました(^_^)
そこでまずときど選手についてまとめてみました。
名前:谷口 一(たにぐち はじめ)
愛称:ときど、マーダーフェイス、トルネード谷口、フェニックスはじめ etc…
生年月日:1985年7月7日生まれ 33歳(2018年8月現在)
血液型:O型
出身地:沖縄県那覇市生まれ、神奈川県横浜市育ち
学歴:麻布中→麻布高→東大理Ⅰ卒
職業:プロ格闘ゲーマー
所属:Echo Fox
主な戦歴:EVO 2002 「Capcom vs. SNK 2」優勝
EVO 2007 「スーパーストリートファイターIIターボ」優勝
EVO 2017 「ストリートファイターⅤ」優勝
何が凄いって、学歴ですよね。名門の麻布中から麻布高、そして東大理Ⅰ。そのまま研究者として大手企業などに勤めて安定した生活だってあったはず。それでもプロゲーマーを選んだところが彼の凄い所です。
そもそも彼の場合、考え方が通常とは違うんですよね。「勉強を頑張ったからご褒美にゲームを買ってもらった」のではなく、「ゲームのために勉強を頑張った」ということなんです。
ゲーム>勉強
これが彼の一環としたスタイルです。ゲームが欲しかったから勉強して、その結果頭がよくなり東大に行ったということ。東大に行きたかったから勉強したわけでも勉強ができるようになりたかったわけでもないんですよ。彼が求めたのはあくまでゲーム。ゲームという目的のために手段として勉強をしたということです。
パッと見ると元々頭が良かったんじゃないかとか、そんなんで勉強できるなんて羨ましいと思ってしまいます。しかし、もしかしたらそんな簡単なものじゃなく、死に物狂いでゲームのために勉強をするという努力をしたのかもしれません。その結果、日本ではウメハラさん・マゴさんに続き3人目のスポンサー契約を結んだプロゲーマーになれたのでしょう。
ときどの由来
ときどって本名ではなかったんですね。ではなんでこんな名前が付けられたのか?それは彼のあるゲームをしていた時の様子から付けられたそうです。
彼が中学生の頃、KOF(THE KING OF FIGHTERS)のキャラクター「八神庵」を使っていたそうです。その際、「ジャンプキック⇒闇払い(必殺技)」という連携を多用するのが彼の戦法でした。この「闇払い」という必殺技使用時に流れるボイスが
「とんで キックして どうしたぁ!」
です。中学1年の頃に初めて参加したザ・キング・オブ・ファイターズ’98の大会。ここでもこの連携技しか使っていないのを友人が見ていて、ボイスの頭文字3つをとって「もう“ときど”でいいじゃん」と言ったのが「ときど」という名前の由来だそうです。
そもそもe-Sports(イー・スポーツ)とは??
耳慣れない方もいらっしゃると思うので、まずは「e-Sports」について見ていきましょう。
エレクトロニック・スポーツ(英: electronic sports)は、複数のプレイヤーで対戦されるコンピュータゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ・競技として捉える際の名称である。「eSports」「e-Sports」「eスポーツ」等と省略した形で主に使われる。
引用元:Wikipedia
今から約30年以上前、私は家庭用ゲーム機と呼ばれるファミリーコンピューター、いわゆる「ファミコン」などで遊んでいました。当時は今のようにインターネット通信でゲームを遊ぶことがなかったので、コンピューターと対戦するか、一緒にいる人と対戦するかしかありませんでした。
ただ、その頃でもゲームメーカーが主催するゲーム大会はありました。日々ゲームをやることによってそのゲームをいかに早くクリアするか、いかに相手に勝つかをみんな研究していました。というより、ゲームをしていれば自然とそうなります。
その努力を試す機会がゲーム大会です。私も「迷宮組曲」というゲームの大会に参加したことがありますが、おそらくこういった大会が日本初のeスポーツ大会になるようです。もちろん賞金などはなく、ちょっとした賞品があった程度です。お金を稼ぐ手段ではなく、ただ単に自分が他の人と比べてどれ位上手いのか、強いのかを知るための大会です。
しかしゲームで人と闘い競うこと。これこそが「e-Sports」です。
私は人間の根本にある1つの大きな意識が、「競う」ことだと思っています。スポーツにせよ勉強にせよ、自分が時間をかけて学び身につけたものを試したいと思うのは人間の本能です。野球で言えば、練習して160キロの球を投げられるようになったとしたら、バッターに投げてみたいと思うでしょう。陸上で100メートルを9秒台で走れるようになったら、大会に出たいと思うでしょう。ただ単に160キロの球を投げれた、100メートルを9秒台で走れた、というだけで満足する人は世の中にどれだけいるのでしょうか?私はほぼ皆無だと思います。
ゲームの世界だって、自分が磨いたテクニックを試したいと思うのはごく当然のことです。
試すには必ず相手や基準が必要です。相手や基準があって、上回るかどうか。勝つか負けるか。比較対象がいなければ分からないことなので、必ず相手や基準が必要なのです。そして競う相手はやはり同じ人間でなければダメなんです。
過去の歴史や今の世の中を見てみると、こうした「競う」ことによって成り立っていることが多々あります。そして人はこの「競う」という行為が、自分でやるのも見ているのもどちらも大好きなのです。
近年になって徐々にゲームも進化し、私が高校生の頃には「ストリートファイター」という格闘ゲームが大流行しました。のちにシリーズ化されるこのゲームですが、キャラクターを選んでコンピューターや人と闘うというゲームです。相手がいればその人と闘い、いなければコンピューターと闘う設定です。高校生、大学生だった頃、ゲームセンターに入り浸りになってしょっちゅう知らない人と闘っていました。そして勝ち続ける事で快感を得られました。
それが今やインターネットで世界中と繋がることができるので、ゲームセンターでもその場に相手がいなくてもネットを通して戦う相手が見つかります。光回線などが進化し、パソコンの機能もかなり向上したおかげで、家でも環境さえ整えば24時間世界中の様々な人と対戦することができるようになったのです。それにともないゲームも少しずつ進化し、オンラインゲームがかなり普及しました。
こうした状況の中、世界ではいち早く「e-Sports」が社会に認知されており、大きな大会が開催されるようになりました。欧米ではなんと1990年代後半から、高額な賞金がかけられた世界規模の大会も開催されています。社会から認知されていたからこそ賞金を出すスポンサーがいて、大会が成立したわけです。こういった大会の参加者の中には、アマチュアはもちろん、年収1億円を超えるプロゲーマーと呼ばれる人もいました。
現在世界で行われているプロフェッショナルeスポーツの競技会として広く認められている物には、以下8つの大会が存在します(アジアオリンピックは除く)。これらの大会では、高額の賞金を獲得するチャンスがあります。
ESL(インテル・エクストリーム・マスターズ)
Cyberathlete Professional League
World Series of Video Games
World Cyber Games
World e-Sports Games
ESWC
Evolution Championship Series
Major League Gaming
数年前までの日本では、プロゲーマーと呼ばれる人はほとんどいませんでした。昔で言えば「高橋名人」のような方でしょう。ただ、どこかの大会に出て賞金を稼ぐというスタイルではなかったので、今言われているプロゲーマーとは異なります。ここでいうプロゲーマーというのは、世界各地で開催されるゲームの大会に出場して賞金を獲得したり、スポンサー契約を勝ち取って生計を立てている人などを指します。
私が幼かった頃は「ゲームばかりしていないで勉強しなさい」と言われたものです。
ゲームをすると勉強をしない
ゲームは時間を無駄にするだけで役に立たない
ゲームをすると目が悪くなる
ゲーム=必要悪
そんな構図だったのが、今や1つの職業として認められるようになったのですから凄いことです。勉強は苦手だったけど、ゲームは天才的に上手かった友達がいました。今の時代に生まれていれば、違った人生を歩めたかもしれません。
どんな分野であっても極めれば評価される。勉強や運動だけが全てではないということが最近世界中で証明されたんですね。これは素晴らしいことだと個人的に思っています。
日本国内のe-Sportsの現状は?
日本は先進国の中でも数少ないeスポーツ未承認国です。理由は単純に
日本国内のゲームに対する偏見
に尽きると思います。ゲームは単なる遊びに過ぎないという見方です。まさかゲームを作る側ではなく、プレイする側でお金を稼げるような時代が来るとは思っていなかったのでしょう。あくまで「ゲームは遊び」という固定概念が日本人には根深く植え付けられているのだと思います。
それでも近年、色々とテレビで取り上げられるようになりました。日本人初のプロゲーマーである「梅原大吾」選手や、「ときど」選手などが世界大会で優勝したからです。その様子がニュースとしてTV放送されたことによって、徐々に認知度が上がってきました。同時に、稼げる職業として認知されてきたのです。
このように徐々に盛り上がってきた日本のe-Sportsですが、実は日本国内での統括団体は
s-sports促進機構
日本eスポーツ連盟
の3団体に別れていました。そのため、日本オリンピック委員会の認可団体になれないといった問題があったのです。しかしこの問題も2018年2月に、ついに3団体が統合され
日本eスポーツ連合
が発足したことにより解決しました!!これで安心安心かと思っていたのも束の間。今度は2018年5月7日、
日本eスポーツリーグ協会(JeSA)
が設立されました。やっと1団体になったのに、また別団体ができるとは。。。おそらく色々な利権が絡んでいるんでしょうね。どんな世界でもこういったことが起きますが、共通していることがあります。それは
当事者である選手たちの意向は二の次
という点。最近のボクシング協会の件がいい例です。山根明会長が会見で、
どうか選手の皆さん、将来東京五輪に参加できなくても、その次の五輪があります
なんて信じられないような発言をしていました。
4年間努力してきて、かつオリンピックの東京開催なんて選手として迎えられるのはほぼ1回しかないことです。それなのにこんなことを言うなんて、選手のことなんか少しも考えていないんだなと本当に腹が立ちました。
e-Sportsは日本国内ではこれからの業界です。最近では吉本興業やJリーグといった、ゲームとはおよそ関係のない所も参加を表明しています。まだまだしばらくは混沌とした状態が続きそうで、選手のみなさんが心配です。ぜひ選手の方を第一優先に考えて欲しいと思います。
アジアオリンピックについて
最近「e-Sportsがオリンピック競技に!?」と言ったニュースが放送され、注目を浴びました。私は元々e-Sports自体は知っていましたが、「オリンピックの正式種目になるの!?」と驚きました。オリンピックはオリンピックでも、「アジアオリンピック」だったんですけどね(笑)
「アジアオリンピックって何?」
と私と同じことを思った人も多いと思います。この「アジアオリンピック」ですが、みなさんが一番よく知っているオリンピックのアジア版が「アジアオリンピック」です。正式名称は「アジア競技大会」といいます。原則4年に1回開催されるので、みなさんがよく知っているオリンピックと同じ感じですね。
スポーツの祭典と言われるオリンピックと異なる点は、アジアの地域性を考慮した種目が含まれるという点です。カバディやセパタクローのようなアジアで盛んな競技や、囲碁といった一般的にはスポーツとは異なる競技も含まれます。
マラソンやサッカーなど、オリンピックで国の代表として活躍できる場があるのと同じように、e-Sportsでも国の代表として闘う場があるのは本当に素晴らしいことだと思います。
まとめ
e-Sportsの世界は、まだまだ未成熟な部分が多いです。先ほども述べましたが、業界団体の足並みがそろっていない状態です。利権の争いといったくだらないことで選手たちの未来を奪わないで欲しいと切に願います。
また、運営面でも法律的な面でも色々な問題が残っています。
プロライセンスを発行することによって賞金を受け取れるようにするというが、その制度はどのようなものになるのか
プロライセンスが発行されるタイトルの選定基準がどのようなもので、今後どのようにタイトルがどのような基準で追加されていくのか
高額な賞金には日本の法律的に問題があるのではないか
プロゲーマーは1つの仕事とみなされるため、会社に所属している人はプロゲーマーが副業となる。その場合、副業を認めていない会社に所属している人はどうするのか
といった運営面での問題が指摘されているのと同時に、
刑法賭博罪
景品表示法
風俗営業法
に抵触しないのかといったことも指摘されています。
なんにせよ、まだ始まったばかりの業界です。今後世界中で大きく拡大していくと予想されている分野なので、少しでも早く国内の制度改革を進め、選手たちが活動しやすい環境を整えてほしいです。ただでさえ世界からは後れを取っているのですから。
そしていつの日か、テレビを観ながら日本のプロゲーマーを応援する日が来るといいなぁ~と思います。
51でした。
「人気沸騰のeスポーツ マイケル・ジョーダンも参入!!」の記事はこちら
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