東名夫婦死亡事故 あおり運転の男に懲役23年求刑

東名夫婦死亡事故 あおり運転の男に懲役23年求刑

昨年6月、神奈川県大井町の東名高速道路で乗用車にトラックが追突し、「あおり運転」を受けた夫婦が死亡した事故で自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた無職石橋和歩被告(26)の裁判員裁判の論告求刑公判が10日、横浜地裁(深沢茂之裁判長)で行われました。検察側は懲役23年を求刑しました。

 

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東名夫婦死亡事故
あおり運転の男に懲役23年求刑

 

 

事件の概要

 

①2017年6月5日夜、東名下り線のパーキングエリアで静岡市清水区の自営業萩山嘉久さん(当時45歳)に駐車方法を非難されたことに腹を立てる。

②萩山さん一家が乗った車を時速約100キロで追い抜き、車線変更をして進路を塞ぐなどのあおり運転を4度繰り返した。

③その後石橋被告は高速道路上で突然停車し、萩山さん一家の車を追い越し車線上で停車させた。

④石橋被告は車を降りて萩山さん一家の車に近づき、「けんか売ってんのか」と食ってかかり、「すみません」と謝る萩山さんの首元をつかんで「海に沈めるぞ」「車の方に放り投げるぞ」などと言いながら引っ張った。

⑤その時、萩山さんのワゴン車にトラックが追突し、嘉久さん(当時45歳)と妻・友香さん(当時39歳)が死亡、娘2人がけがを負った。

以上が概要ですが、もはや殺人といってもなんらおかしくない事件です。自分が悪いのに注意されたことに腹を立て、高速道路上であおり運転。しかも高速道路の変更車線上で車を停車させるということがどれほど危険なことなのか、車を運転する人間であれば誰でも分かることですし、運転しない人間でも分かることです。今回裁判で注目されているのは、「危険運転致死傷罪」が適用されるかどうかでした。なぜ注目されているのか、「危険運転致死傷罪」について見てみましょう。

 

自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪

 

危険運転致死傷罪

(第二条、第三条) 下記の行為によって人を死傷させた者

  1. アルコール又は薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
  2. アルコール又は薬物の影響により、正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で自動車を運転する行為であって、結果としてアルコール又は薬物の影響により、正常な運転が困難な状態に陥ったもの
  3. その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
  4. その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
  5. 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  6. 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  7. 通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  8. 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転する行為であって、結果としてその病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥ったもの(適用対象となる病気は後述)

引用:Wikipedia

 

このように定められているのですが、今回の場合は5番目の

 

人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 

この条文が問題と考えられます。この条文はあくまでも自動車を運転をしている事によって事故を誘発させることが前提となっています。ところが今回の事件では、車を停車させた後に別の車が追突して死亡事件になっています。加害者は車を運転していない状態なんです。

つまり「危険運転致死傷罪」では今回のように停車させた後のケースは想定外だったということになります。そのため、今回の裁判では「危険運転致死傷罪」に問えるかどうかが大きな注目を浴びていると思っています。

個人的な意見としては、今回の追突事故は明らかに石橋被告の行動によって誘発されたものだと考えます。追い越し車線上に車を停車させれば、そこに後続の車が追突する可能性は十分予見できたという判断です。そこに因果関係を認めることができるので、私は今回の件は「危険運転致死傷罪」が適用されるべきだと考えています。

ただこれは私の希望的意見であって、実際には因果関係が薄いとされる可能性が高いと思われます。

 

まとめ

 

本日の裁判では、検察側は「安心安全な自動車社会の実現のためにも、被告の行為は決して許されない」と述べ、懲役23年を求刑しました。危険運転致死傷罪の上限は懲役20年です。しかし今回は一緒に起訴した暴行罪なども含め求刑したので、23年となっています。石橋被告は起訴内容を大筋で認める一方、弁護側は危険運転致死傷罪と予備的訴因の監禁致死傷罪は成立しないと主張しています。判決は14日ですが、この判決は今後の裁判においても目安となります。今回、亡くなったご夫婦の娘さん2人やご両親などが、今回の事件について沈痛な想いを法廷で述べていらっしゃいます。

法律はルールです。守られるべきものです。しかし法律を作ったのは人間です。変えることができるのも人間です。今回のような前例のない事件の場合、杓子定規な解釈ではなくご遺族の悲痛な叫びをしっかりと聞いた上で勇気のある判決を下して欲しいと思います。裁判長が危険運転致死傷罪を認めるのか、それとも退けるのか、14日の判決を見守りたいと思います。

 

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